初めに

ダイエットをするにしても筋肥大を狙うにしても運動と同じくらい大事なのが食事です。
その食事について皆さんどれくらいご存じでしょうか?
「なんとなく油ものは避けた方がいい気がする」「鶏肉がいいんでしょ?」
などぼんやりとした情報は頭にあっても、なぜ油ものを避けて鶏肉を食べるべきなのかについてはあまり詳しく考えたことがないのではないのでしょうか?
この記事ではそんな皆様がこれからの人生で一生使える栄養の基礎知識をお伝えします。
これから一生続けていく食事というものに賢く向き合えるようにぜひ最後までお付き合いください
5大栄養素

誰しも必ず聞いたことのあるこの言葉
具体的に何があるか覚えていますでしょうか?
五大栄養素には実際に私たちの身体を動かすために必要なエネルギーを生み出すカロリーを含む
- 炭水化物
- タンパク質
- 脂質
体のバランスを整える
- ビタミン
- ミネラル
の二つに分けられます。
これらを総称して5大栄養素というわけです。
次に一つずつ詳しく見ていきます。
炭水化物

ごはんやパンなどに代表される炭水化物
最近では低糖質商品なんかが増えてきていますね。その糖質とは一体何か説明していきます。
まず
炭水化物=糖質+食物繊維
のことを言います。
ダイエットにあまりいいイメージのない糖質とダイエット中に食べたほうがいい気がする食物繊維がセットになっているのが炭水化物になります。
また、炭水化物はエネルギーを生成します。具体的には
1g=4kcal
のエネルギーを生み出します。
白米…約234kcal
食パン一枚(6枚切り)…約150kcal
パスタ一人前…約375kcal
さらに、同じ糖質を同じ量とったとしてもカロリーには大きく差が出ます。
玄米と砂糖菓子を同じ量食べた場合どちらの方がカロリーが高くなるかは容易に想像できるはずです。
玄米100gあたり154kcal
砂糖100gあたり391kcal
つまり、糖質そのものが悪なのではなく、何から糖質を取るかが重要になってきます。
糖質が悪だと思いすぎるあまり炭水化物を極端に抜くと、前述のとおり食物繊維の摂取量も減りますので、便秘や腸内環境の悪化につながり、食事を減らしても体重が減らないという負のスパイラルに陥ります。
精製糖質を避ける
では、具体的にどんな糖質を避けるべきか。これはもう答えがあります。
それは、精製糖質です。
精製糖質とは、お菓子やスイーツに代表されるような、白いお砂糖を使ったものや、小麦粉、麺類、白米もこれに当たるとされています。
精製糖質を摂取することで「血糖値スパイク」や「機能性低血糖」を引き起こす可能性があります。
血糖値スパイクとは…
精製糖質の摂取により血糖値が乱高下すること。
乱高下することで血管を傷つけ、動脈硬化の原因になるとともに、機能性低血糖を引き起こす。
機能性低血糖とは…
食後5時間の間で、60分間で血糖値が50㎎/dlの降下が起きること。
通常の低血糖と同じく、興奮、緊張、恐怖、不安といった精神不調に陥る。
その結果、より高糖質な食物の過剰摂取につながる。
以上のことから、世間のはやりに流されて低糖質ダイエットや炭水化物抜きダイエットをする前に、精製糖質を避けて、玄米や、全粒粉、大麦などに置き換えて
賢く炭水化物と付き合うのがよいでしょう。
脂質

ダイエットに油ものがよくないのは周知の事実
では、なぜ避けた方がいいのでしょうか?
それは、脂質には
1g=9kcal
ものカロリーを持っている為です。
炭水化物が4kcalだったのを考えると実に倍以上です。
つまり、同じ量食べていても、倍以上のカロリーを知らず知らずのうちに摂取してしまっているということになります。
それゆえ、ダイエットをするときには油ものに代表されるような脂質を避けるのが無難だとされています。
しかしながら、脂質は体内でホルモンを分泌する役割がありますので、極端に減らすと
男性ホルモン・女性ホルモンの分泌量低下、肌・髪の乾燥、便秘などの悪影響があります。
こちらも炭水化物同様にとるべき脂質、いわゆる良質な脂質と避けるべき脂質があります。
脂質には大きくわけて
- 飽和脂肪酸(短・中・長鎖脂肪酸)
- 不飽和脂肪酸(オメガ3・6・9、トランス脂肪酸)
の二つがあります。
それぞれ詳しく見ていきましょう
飽和脂肪酸
飽和脂肪酸とは常温で固形の脂のことで、主に乳製品や肉などの動物性脂肪に多く含有しています。
これらの過剰摂取により『心疾患リスク増加』『2型糖尿病リスク』『肥満との関連』などの問題を引き起こすといわれています。
心疾患リスク…メタ分析によると飽和脂肪酸摂取の減少は心疾患イベントリスクを17%低下させる
2型糖尿病…大規模コホート研究では、飽和脂肪酸の摂取量増加が2型糖尿病リスクの上昇と関連
肥満…システマティックレビューは、飽和脂肪酸摂取減少が体重減少につながる可能性を示唆
飽和脂肪酸にも種類があり、それぞれ『短鎖脂肪酸』『中鎖脂肪酸』『長鎖脂肪酸』に分けられます。
- 短鎖脂肪酸…食物繊維を体内で発行させることで生成され、腸内環境を整える役割
- 中鎖脂肪酸…ココナッツオイル、MCTオイルなどに含まれる良質な脂質
- 長鎖脂肪酸…バターや肉に含まれ、摂取量に注意
MCTオイルとは…主にココナッツオイルなどから抽出される脂質で
- 即効性のエネルギー源
- 体重や体脂肪の減少
- 認知機能の向上
- 腸内のカビの抗菌作用
などの効果がある
不飽和脂肪酸
不飽和脂肪酸は以下の種類に分けられる
- オメガ3
- オメガ6
- オメガ9
- トランス脂肪酸
オメガ3(良質な脂質)
体内で合成することができない必須脂肪酸のこと。αリノレン酸・EPA・DHAなどがある
魚やアマニ油、えごま油に代表される良質な脂質のことで
炎症・アレルギーの抑制、血管拡張、柔軟性向上、認知機能の向上に寄与するので、積極的に摂取していきたい脂質になります。
オメガ6(摂取量に注意)
サラダ脂、ごま油、コーン油に代表される脂質のことで
炎症・アレルギーの亢進、血管硬化、弾性の低下が生じるので摂取量に注意したいです。
ダイエットの時に避けるべきとされているのはこの油になります。
オメガ9(良質な脂質)
体内で合成可能な脂肪酸オレイン酸などがあげられる
オリーブオイルやアーモンド、アボカドなどに代表される脂質のことで
HDLコレステロールを減らさずLDLコレステロールだけを減らす効果が確認されています。
トランス脂肪酸(摂取量に注意)
マーガリンやショートニングに代表される脂質です
こちらは自分の意志で摂取しないように気を付けられるので、ダイエットの際には一番最初に摂取を控えたい脂質になります。
以上のことから、ダイエット中には脂質を減らすことはもちろんのこと
魚やアボカド、ナッツ類から良質な脂質を摂取できるようにしていきましょう。
タンパク質

身体づくりにおいてタンパク質を積極的に摂取した方がいいのはなんとなく知っているかとおみます。
この章でタンパク質についての解像度をより上げていきましょう
タンパク質も同様にカロリーを持っています。
1g=4kcal
です。しかし、タンパク質にはほかの栄養素とは大きく異なる点があります。
それは、食事誘発性熱産生が高いという点です。
食事誘発性熱産生を味方につける
食事誘発性熱産生とは食事によって消費されるエネルギーのことです。
食事でエネルギーを摂取していても消化吸収するのにエネルギーを必要とするという、不思議な現象が体では起きます。
食後に体があったかくなったことがある人は多いのではないでしょうか?
あれが食事誘発性熱産生で、タンパク質はその割合が30%と非常に高いのです。(糖質…約6%、脂質…約4%)
つまり、タンパク質は他の栄養素に比べて実際に体に吸収されるカロリーが低くなるというわけです。
2012年のメタ分析レビューで高タンパク食は低タンパク・普通タンパク食に比べて、優位に体重、脂肪量の減少・女子帽体重の増加が認められている。
推奨摂取量
推奨される摂取量は、「1日当たりの総エネルギー摂取量の20~35%」または
「体重1㎏あたり1.2g~1.9g」とされています。
2020年にMagkosは近年に報告された8つのランダム化比較試験の結果から、ダイエットの効果を高めて、リバウンドを防ぐためには、タンパク質量を上記の量にすることが効果的であると示唆している
ミネラル

ミネラルとは骨や歯などの構成成分や、血液やホルモン、酵素の成分として機能する
無機質の元素の総称のことです。
以下に、不足しがちなミネラルをまとめました。
鉄
鉄は体の中に約3gあるとされており、そのうち65%は血液中のヘモグロビンの構成成分である
なぜ鉄が大事なのかというと
- 神経伝達物質を作るため、不足すると精神が不安定に
- 筋肉に酸素を取り込み、運動パフォーマンスが向上する
- 免疫機能を強化、認知機能を向上させる
以上のような効果があるためです。
1日当たり男性であれば7.5mg、女性であれば10.5mgとる必要があります。
ヘム鉄
ヘム鉄は赤身肉やレバー、マグロ、カツオなどの肉・魚に多く含まれています。
ヘム鉄の体内利用率は15~30%と比較的高いことが特徴です。
非ヘム鉄
非ヘム鉄はホウレンソウや、小松菜、豆類、海藻類に多く含まれています。
非ヘム鉄の体内利用率は5%前後とかなり低いですが、ビタミンCと一緒にとることで
ヘム鉄並みの吸収率にすることができます。
マグネシウム
マグネシウムは体内における、約300種類以上の酵素反応に関係している重要なミネラルです
- リラックス効果
- 骨を強くする作用
- 心臓血管疾患と糖尿病の低下
- 炎症抑制と脂肪減少の可能性
- 睡眠の質を改善する
などの効果があります。
マグネシウムを多く含む食材にはホウレンソウやアーモンドなどがありますが
一度に大量に摂取するとおなかを下す可能性もありますのでこまめに摂取しましょう
亜鉛
亜鉛もマグネシウム同様、300種以上の酵素の補因子やホルモンの材料になったり
免疫機能を調整したりします。
- ホルモン合成作用…特に男性ホルモンや、成長ホルモンを合成する際に必要
- 免疫機能を強化…風邪の寛解の期間が半分に
- 鬱傾向の改善
などの効果があります。
ビタミン
ビタミンとは、ヒトの健康や正常な生理機能を維持するために必要な微量栄養素です。
体内で十分に合成できないため、食物から摂取する必要があります。
水溶性ビタミン
水に溶けやすい性質があるため、摂取量が少ない場合には欠乏症を引き起こす可能性もあります。
脂溶性ビタミン
ビタミンD,A,K,Eがこれにあたり、脂質と同時に摂取することで吸収効率が上がります。
まとめ
ここまで5大栄養素についてまとめてきました。
ダイエットや体づくりにおいて必要な栄養の知識の概要はお伝え出来たかと思います。
脂質や糖質を不要に怖がることなく、適切な距離感で賢く食事を選択するための一助になれば幸いです。
それぞれの栄養素についてのさらなる深堀も今後の記事で更新していこうと思いますのでお楽しみに
それではみなさま良きヘルシーライフを!
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